ホンマタカシの「たのしい写真」という本を読んでいる。
「よい子のための写真教室」というサブタイトルに釣られて読み始めたが、内容は写真を専攻する学生向けのテキストといってもいいくらい専門的である。
始めに「写真」という言葉について。
写真とは、photographの訳語だが、当初は「光画」と言っていた。
photoが光、graphが画だから、訳語としては光画の方がふさわしい。
photographは「真を写す」だけじゃない。
これがこの本のキーワードになっている。
それがいつから写真というようになったか?
それには戦争の影響がある。
戦場で一体何が起こっているのか?
真実を伝えるもの。それが写真だった。
その決定的瞬間。それがいい写真だった。
次はニューカラーと言われる時代。
アメリカの郊外。写っているのは家と車と道路と。。。
どれが主役というわけではなく、どれもが等価で撮ってある。
いつまでも変わらない悠久のときの流れを感じる。
いつかは撮ってみたい写真。
そしてポストモダンへと続く。
歴史を振り返った後はワークショップへと切り替わり、美大の学生たちに次のような設問が与えられる。
好きな写真を一枚選んで、その写真がどのように成立しているかを言葉で説明し、それと同じ構造の写真を撮る。
新鮮だったのは「好きな写真がどのように成立しているか」という問いかけ。
そんな風に考えたことは一度もなかった。
「なんとなくいい感じ」では再現できないのだ。
うまく撮れないことでの気付き。
そのようなトレーニングを通じてうまくなるんだろう。