いつの間にか実家に帰ってきていた。
そこから少しばかり上手にあるバス停の辺り。バス停に用があった 訳ではない。定期路線バスはとっくの昔に廃止されていてそのバス 停は当時の名残りでしかない。
「ええっーと何をしようと思って来たんだっけ。確かゴミ集積所があったな。読まれなくなった雑誌でも置いてあるかな」
そう思ってバス停そばのゴミ集積所の方へ行く。 物陰になっているせいか暗くてよく見えない。 すると中から若い娘さんが出てきてこちらに向かって話しかけてき た。
「あっ。昨日はありがとうございました」
初めて会ったような気がするが誰だろう。
「昨日の帰りに車に乗せてもらいました」
そういえば若い娘さんを乗っけたような気がする。
「あーあの時の」
「私この家なんです」
じゃあ幼馴染のお孫さんかな。それにしても大きいな。
「昨日は仕事帰り?」
「ええ。その後にジムに寄ってその帰りだったんです」
ずいぶんと愛想がいい。笑顔もいい。 それにしてもこんな田舎町にもジムができるなんて変わったもんだ な。
「もうじき命日ですよね?来月か再来月辺り」
すっかり忘れてた。 なんでこの娘が母の命日のことを知っているんだろう? 葬儀のときに参列してもらってたかな。
「来月です」
「そうですか。じゃあ私これで」
さてと乗ってきた自転車はどこに置いたっけ? キョロキョロとそこら辺を探す。 するとおばあちゃんがこちらに歩いてやってきた。 腰が曲がっている。
「そんなことだろうと思ってやってきたよ。 あんた自転車どこに置いたと思ってるの?こっちに来てみんさい」
そう言って実家の方に戻っていく。自分もそのあとをついて戻る。 歩く道の横に広がる田んぼには赤い花をつけた植物が風に煽られて斜めに傾いている。
「この赤い花は何ていうの?」
「さあなんていうんじゃったかの」
「最近はどの家でもこの花を栽培しとるん?」
「そうよの」
実家の前に架かってる橋を渡る。実家のすぐ裏手は川だ。 納屋の脇を通ってカド先に入る。
「どこに置いたかよーく見てみんさい」
ぐるりと見渡すが、そこは中が何もないがらんどうの実家だった。
これが今年の初夢。3日前に引いた咳風邪がこじれて熱が出た。38度台の熱が2日続いた。 それが昨日の夕方になってやっと下がってきた。
「2日も寝込んでいたから今夜は眠れそうにないな」
そう思いながら寝についた矢先に見た謎だらけの夢だった。